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馴染み
18世紀から19世紀にかけてイギリスに始まった産業革命は物の生産量を飛躍的に拡大して工場生産と資本主義を確立した。結果として従来のマニュファクチュアー的な手工業は壊滅的な打撃を被ったのである。

現代もまさに21世紀の産業革命というか販売革命というか、情報革命というか・・・まあ、言い方はさておいてこれらの変革にとても付いて行けない。ややもすると取り残されるのではないかという不安がよぎる昨今の自分の商売の現況である。

電化製品や自動車などが各工場で部品を作り、組み立てるということはあり得ても、住宅産業、建築業界に関しては職人集団の個々の技術の連携によって成り立っていると高をくくっていたのが間違いの元であった。今は、住宅も工場で作る時代なのだ。

自分が作っている襖も95%がメーカーの工場生産に占められるようになった。襖について言えば一部の高級仕様と張替依存のみに活路を見出すしかないのである。自分たちと同様な現状が様々な分野で見受けられる。床屋さんもそうであろう。

組合に入って協定料金で従来のサービスを提供して、各々の業者の棲み分けができていたのが、低料金を売りにする組合未加入の店舗が出現した。まあ、ここら辺まではどの業界でも見受けられることであって、技術やら丁寧さやら客への対応などで差をつけて料金の差を埋め合わせていた。

ところが「カットのみ」「10分間」「1,000円」を看板に全国展開するフランチャイズが自分の家のすぐ近くのJRの駅構内に開店したのである。初めは「フーン」という感じで眺めていたのだが、まさか自分が「1,000円床屋」に座ろうとは考えても居なかった。

前回「つぶやき」に書いたように馴染みの床屋の廃業でとりあえずむさくるしい頭を何とかしようと思って入ってみた。ところが、結構いいのである。フランチャイズであるからマニュアルが徹底している。衛生的であって、接客も作業も実に無味乾燥でロボットが散髪しているような感じだ。実はそこがいいのだ。料金も自販機に1,000円札を入れるようになっている。店舗は外部から丸見えで「10分間」が売りであるから待ち人数を数えれば自分の順番までの時間が計算できるもの便利である。

もう数回利用している。驚いたことに客層が結構広いのである。女性客が多いことにもびっくりした。学生、子どもも多い。要するに老若男女を問わず順番を待っている。

自分としては馴染みの店が見つかるまでの「つなぎ」と考えているがどうかすると「1,000円床屋」が馴染みになりそうな気がしないでもない。

しかしもう片方では散髪をしながら手の爪の手入れをしてもらったりマッサージとか顔のシワのたるみを伸ばすとかで2時間「ン万円」などというコースが予約で満杯などというニュースを見聞きしたりもする。両極端になって行くのかもしれない。商売で勝ち残る(いや生き残るでいいか。)コツはここらへんにあるのか。

ちなみに当社ではお客様のご予算に合わせて見積をさせていただきますのでぜひお声をかけてください。絶対に「馴染み」になっていただける自信ありです!
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【 2007/01/13 23:21 】

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髪床
若い時分から銭湯と床屋はずっと同じ所に通っていた。風呂は自家風呂になって久しいが散髪は馴染みの店で無いとダメである。床屋との付き合いも60年余り・・・。思い出してみてもせいぜい4~5件しか替えていない。それも店側の事情で替えざるを得なかったのである。次に頭を任せる床屋がなかなか見つからず苦労することもある。

何も特別な注文があるわけでもない。多分自分の性格によるものであろう。元来自分は髪形にそれほどの執着はないのである。まあ、若い頃は時々の流行に応じて髪を長めにしたこともあったが・・・。今では鬱陶しくなったときにやっと腰を上げる程度である。そんなわけで床屋に行った日の夕食時など必ず子供達が必ず声をかけてくれる。「お父さん、床屋へ行ったでしょう?」「お父さんいい匂い。」などなど・・・床屋へ行く前のボサボサの見苦しい頭がわかろうというものだ。

めったに行かないが床屋の椅子に身を委ねる40分ほどは至福のときであった。似たような椅子でも歯医者のそれとは天と地の差がある。仕事に疲れきったときとか、睡眠不足の折に行こうものなら最初から最後まで心地よい眠りをむさぼるのである。

さて、我が家のすぐ近くに老夫婦が営む昔ながらの床屋があった。恐ろしく時代に取り残されているような店である。従って客層も年配者が多く床屋でありながら結構近所で顔見知りのバアサンたちが出入りしていた。床屋の奥さんというのがこれまたえらくおしゃべりで、客であるバアサンたちも負けじと応戦している。一方で自分の頭を散髪している旦那の方は寡黙である。無論、たまには愛想の一つも言うが、それも初めの1分間くらいで後はお互いだんまりである。

嬉しいことにこの床屋の老夫婦は大の歌謡曲ファンであった。店にはメロディだけの演歌のカセットが多数用意してあった。自分の演歌好きを何時知ったのか、自分が店に入るまではテレビがついていても自分が椅子にかけると同時に歌の無い歌謡曲に切り替わるのである。

その馴染みの歌謡曲を右の耳で聴き、左の耳には奥さんと女客達の隣近所の噂話が入ってくる。これがまた実に面白いのである。その内容たるや、よそ様の食卓にどんなおかずが何品のっているかまで当てるがごとき精密さである。その正否は自分にはわからないが他人の噂話は尽きることが無い。

<こんな風に書いてはいるが、奥さんの性格が底抜けに明るいので不快感はないのである。まあ、聞いているのは最初の内だけでほとんどが夢の中・・・ではあるが。

そんな店が昨年廃業した。一年ほど前、旦那が倒れ、奥さんが車椅子で旦那を連れて店に通っていたのだが、今度は奥さんが突然倒れて帰らぬ人となってしまったのだ。旦那の落ち込みようは見るも気の毒であったという。

旦那が気の毒であることは重々承知で言う。困った。本当に困った。数ヶ月の間面倒くささも手伝って次の床屋を探そうともしなかった。(以下、つづく)
【 2007/01/10 23:00 】

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鈴本演芸場初笑い
自分が小さな頃から大いなる興味を持って接してきた世界。その世界に『はまる』には必ず原因となる誰かがいた。プロレスなら当然「力道山」、競馬は「スピードシンボリ」であった。映画はというと・・・東映の『チャンバラ』から入ったから「千恵蔵、右太衛門」か。もっともすぐに「錦之助、千代之介」になる。野球は16番「川上」である。相撲は「栃若」につきる。(最初は鏡里、吉葉山、東富士であったが・・・。)

さて、落語は・・・。これが誰から入ったのか記憶が無いのだ。「志ん生」の廓話に聞きほれて落語好きになり、ラジオの寄席中継をかかさず聞き始めたとは思えないのだ。そうであろう、小学生の後半である。(中学生にはなっていなかったはずだ。)

先代の「金馬」、同じく先代の「円歌」、「今輔」あたりか?はっきりとしないのである。落語に興味がない方にはチンプンカンプンで「どうもスミマセン!」であるが・・・。

「文楽」、「志ん生」、「円生」そして「小さん」、また「可楽」、「三木助」、「柳橋」と昭和の名人上手をリアルタイムに(と言っても最初はラジオ、後年ホールの名人会になる。)堪能したものである。落語を語るともうダメである。何が?いやダメなものはダメなのである。

全く関係の無いことであるが、米国の大統領であった「ケネディ」が暗殺された年に「力道山」が亡くなった。当時、自分にとっては「力道山」の死の方がショックであった。そして「志ん朝」の死が報じられた新聞を読んだときの無念さは今でも覚えている。「志ん朝」の全集カセットは手元にある。もし誰か一人の落語家のCDを選べといわれたら「志ん朝」である。誰か一人飲みたい奴といわれれば「談志」か・・・。(笑)

さて四日の鈴本演芸場。伯父さんからのお年玉だ。前列四番目の真正面の一番良い席だった。トリは「小三治」。正月の顔見世であるので次から次へと出演者は総勢20数名。色物、前座、一緒に行ったカミさんはすべての出し物に大笑いをしていた。

出演した芸人さん達の耳にはカミさんの笑い声が心地よく響いたことだろう。ちょっと落ち込んでいた芸人さんには元気を、売れっ子芸人さんには自信のお年玉。気のせいか、「小三治」のギョロメが何回かこっちを睨んでいたような・・・そんな「鈴本初笑い」であった。
【 2007/01/06 13:02 】

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寝正月
早くも正月三が日が終わった。文字通り「寝正月」の三日間だった。起きているときは朝昼晩とほどほどに酒を呑み、日頃コレステロール値が気になって控えていた肴を存分に食べた。当然今月中に受ける定期検診の結果が気にかかるところではあるが、まぁ、正月も過ぎれば元の食生活に戻るのであるからと勝手な理屈をつけてのささやかな贅沢だ。

まだ子どもたちが小さい頃は今日あたりは家族旅行の真っ最中であった。昔々の話である。今はと言えば・・・。ケーブルテレビの時代劇にチャンネルを合わせ、「忠臣蔵」、「風林火山」、「春日局」と片っ端から見続けたのはいいが、「葵、徳川三代」とダブリまくってどっちがどっちだか区別がつかなくなってしまったほどだ。(汗)

その間に黒澤明の「天国と地獄」が割って入った。若い時分には無類の映画好きであった。同時に本もよく読んだ。が、今では活字を追うのがやや面倒になってきた。というわけでコタツにもぐり込んでの心地よい怠惰な時間を過ごしたというわけだ。

そして今日4日、何十年ぶりかの寄席へ落語を聴きにいった。上野鈴本演芸場での「吉例落語協会初顔見世特別公演」である。この話はまた書くことにする。
【 2007/01/04 23:03 】

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明けましておめでとうございます!
明けましておめでとうございます!皆様には良いお年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
昨年中は大変お世話になりました。おかげさまで一家揃って明るい正月を迎えることができました。
今年も『インテリア町田』をよろしくお願いいたします。

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◆画像は我が家恒例の漫画年賀状です◆
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【 2007/01/01 15:06 】

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