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髪床
若い時分から銭湯と床屋はずっと同じ所に通っていた。風呂は自家風呂になって久しいが散髪は馴染みの店で無いとダメである。床屋との付き合いも60年余り・・・。思い出してみてもせいぜい4~5件しか替えていない。それも店側の事情で替えざるを得なかったのである。次に頭を任せる床屋がなかなか見つからず苦労することもある。

何も特別な注文があるわけでもない。多分自分の性格によるものであろう。元来自分は髪形にそれほどの執着はないのである。まあ、若い頃は時々の流行に応じて髪を長めにしたこともあったが・・・。今では鬱陶しくなったときにやっと腰を上げる程度である。そんなわけで床屋に行った日の夕食時など必ず子供達が必ず声をかけてくれる。「お父さん、床屋へ行ったでしょう?」「お父さんいい匂い。」などなど・・・床屋へ行く前のボサボサの見苦しい頭がわかろうというものだ。

めったに行かないが床屋の椅子に身を委ねる40分ほどは至福のときであった。似たような椅子でも歯医者のそれとは天と地の差がある。仕事に疲れきったときとか、睡眠不足の折に行こうものなら最初から最後まで心地よい眠りをむさぼるのである。

さて、我が家のすぐ近くに老夫婦が営む昔ながらの床屋があった。恐ろしく時代に取り残されているような店である。従って客層も年配者が多く床屋でありながら結構近所で顔見知りのバアサンたちが出入りしていた。床屋の奥さんというのがこれまたえらくおしゃべりで、客であるバアサンたちも負けじと応戦している。一方で自分の頭を散髪している旦那の方は寡黙である。無論、たまには愛想の一つも言うが、それも初めの1分間くらいで後はお互いだんまりである。

嬉しいことにこの床屋の老夫婦は大の歌謡曲ファンであった。店にはメロディだけの演歌のカセットが多数用意してあった。自分の演歌好きを何時知ったのか、自分が店に入るまではテレビがついていても自分が椅子にかけると同時に歌の無い歌謡曲に切り替わるのである。

その馴染みの歌謡曲を右の耳で聴き、左の耳には奥さんと女客達の隣近所の噂話が入ってくる。これがまた実に面白いのである。その内容たるや、よそ様の食卓にどんなおかずが何品のっているかまで当てるがごとき精密さである。その正否は自分にはわからないが他人の噂話は尽きることが無い。

<こんな風に書いてはいるが、奥さんの性格が底抜けに明るいので不快感はないのである。まあ、聞いているのは最初の内だけでほとんどが夢の中・・・ではあるが。

そんな店が昨年廃業した。一年ほど前、旦那が倒れ、奥さんが車椅子で旦那を連れて店に通っていたのだが、今度は奥さんが突然倒れて帰らぬ人となってしまったのだ。旦那の落ち込みようは見るも気の毒であったという。

旦那が気の毒であることは重々承知で言う。困った。本当に困った。数ヶ月の間面倒くささも手伝って次の床屋を探そうともしなかった。(以下、つづく)
【 2007/01/10 23:00 】

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